俺は向日岳人。ついでに今は、授業中。
そんで、俺の前の席に座ってんのが幼なじみの
俺は、2年位前からの事が好きだ。
周りの奴らにも結構知られていて、知らないのは位だ。
クソクソッ!俺ってそんなにわかりやすいのか!?
そんな考えを巡らせながら、何と無く視線をに向けた。
すると、気になるものを発見した。

「・・・!アザ、か?」

俺は小声でつぶやいた。
つか、何で首にアザなんて出来るんだよ。
足とかならまだしも。
よく見ると、半袖のワイシャツから出ている白い腕にも、何ヵ所かアザが出来ていた。

「どーしたんだろ。」

後で、に直接聞こう。
そう思って、授業に集中した。

++

「なぁ、。」

俺は、授業が終わってすぐにに声を掛けた。

「どしたの?岳人。」
「あのさー、首んトコのアザ、どーしたんだよ。腕にも何ヵ所かあるみたいだし。」
「・・・!な、んでも、ないよ・・・?」
「そっか?なら良いけど。」

俺がそう言うとは、友達待たせてるから、と走って行った。
・・・・・・どー考えても、今の反応は普通じゃ無いだろ。
何があったんだよ、

++

俺は昼休み、隣のクラスに来ていた。
キョロキョロと教室の中を見回して、お目当ての人物を探す。

「・・・お!いたいた。ゆーし!!」

侑士を見つけて、大声で叫ぶ。
そう。お目当ての人物とは、侑士だ。
もちろん、の事を相談するために。

「どーしたん、岳人。そんなに大声出して。皆、驚いとるで?」

侑士は、教室に目を向けてそう言った。
けど、今はそんな事どうでも良いんだよ。

「まぁ、良いから。ちょっと相談したい事があんだよ。」
「珍しいやん、岳人が相談なんて。」

早く行こーぜ。
俺はそう言って侑士の腕を引っ張って中庭へ向かった。

++

「で、何なん?相談って。」

侑士は、着くなり俺に聞いた。

「あのさぁ、の様子がおかしいんだよな。身体中アザがあるし。」

どーしたんだと思う?
と、侑士に聞いた。

「岳人・・・。」

いきなり侑士が、真剣な顔をする。

「な、何だよ。いきなり・・・。」

ちょっと焦った。
侑士がこういう顔をすると、ロクな話じゃないからな。

「知らへんのか、岳人は。がD組の松本と付き合っとるんは知ってるやろ?」
「あぁ・・・。」

は、野球部の松本って奴と3ヶ月位前から付き合ってる。
松本は、結構人気があって告白したのはかららしい。
・・・・・・今でも、好きなんだろーなぁ・・・。

「でな・・・・・・2人になると・・・暴力受けてるらしいねん。」
「・・・!?それっ、本当かよっ!」

俺は思わず立ち上がった。
この時、生まれて初めて他人に殺意を感じた。

「俺っ!アイツに言ってくる!にしたこと、俺がやり返す!」

そう言った俺の手首を、侑士が掴んだ。

「やめときぃ。そんな事して、一番悲しむんは誰やと思う?」
「・・・・・・。」

ふいに、が松本の話をしている時の顔が浮かんだ。
それは、すごく楽しそうなの顔・・・。
俺が、そんな事して悲しむのは・・・だ。
間違いなく。

「な?今はとりあえず様子見るしか無いんちゃう?」
「クソッ!!俺は・・・」

俺は、のために何も出来ないのかよ・・・。
に暴力を振るう松本も、
に、何も出来ない自分が、
無力で、憎くて、嫌で嫌でたまらなかった。

++

俺はそれから数日、の事が気になってしょうがなかった。
けど、侑士が言った通り俺は何も出来ない。
部活が終わって、教室でボーっとしていた。
そこに、クラスの女子が来て話しかけてきた。
今は・・・誰とも話したくねぇんだよな・・・。

「ねぇねぇ、向日君!嬉しいニュースだよっ!」
「・・・嬉しいニュース?何だよ。」

ソイツは俺の前に立って、ニコニコと話し出す。

と松本君、別れたんだって!しかも、昨日。」
「・・・え?」

その言葉を理解するのに、時間がかかった。
しばらく呆然としている俺に、さっきの女子が話しかけてくる。

「ちょっとー。聞いてる?」
「あ・・・あぁ。ところでさぁ、どっちから振ったんだ?」

その答えは・・・であって欲しかった。
そうじゃなきゃ、アイツは・・・・・・

「松本君からだって。」
「・・・な、んで・・・。」

俺は、ソイツに理由を聞こうとした。
その瞬間。

「キャアアアァァァー!!!」

外の方からたくさんの悲鳴が聞こえた。
・・・・・・まさかっ!
嫌な予感が頭によぎった。
俺は、考える間もなく外へと走った。

++

外に出てみると人だかりが出来ていた。
そこに集まっている奴らは全員屋上の方を向いていた。
それにつられて、俺も上を向いた。
そこには・・・・・・

っ!!?」

俺は、目を疑った。
そこには、紛れも無い・・・が居た。
は、すでに屋上のフェンスを越えて、一歩踏み出せば落ちてしまいそうな所に居た。
俺は思わず叫んだ。

っ!!!」

叫ぶと、は俺に気づいて視線を下に向けた。

「岳人・・・?どうしたの?」
「どうしたのじゃねーよ!!何やってんだよっ!」

俺がそう言うと、は悲しそうに笑って話し出した。

「私ね、振られちゃったんだ・・・。」

外は、気持ち悪いほど静かでの小さい声もよく通る。
誰一人、喋らないで耳を傾けている。
俺は、あいづちをうつ事さえも出来ずにただただ、の話を聞いていた。

「彼はね・・・私のすべてだったんだよ。どんなに酷い事、されたって。」

あぁ。
やっぱり、侑士の言っていた事は本当だったんだ。

「だから・・・もう、良いの。嫌になっちゃったの。」

そう言った瞬間、の身体が前のめりになった。

――――オチル、

そう、思った。
俺は、何かに弾かれた様に走り出した。
走ってる途中に、大きな悲鳴が聞こえた。
――――頼む!間に合ってくれっ!
視界に、氷帝の制服が見えた・・・気がした。
もう、自分でも何が起こったのか分からなかった。
身体に強い衝撃が走った。
目を開けると・・・そこにはの顔があった。
・・・どうやら、俺が下敷きになってを受け止めたらしい・・・。
よく生きてんなぁ、俺。

「・・・が、くと?」

が気が付いて、身体を起こす。

!大丈夫か?」

++

!大丈夫か?」

そう言った岳人は、本当に心配そうな顔をしていて、私を罪悪感でいっぱいにした。
こんな事したのに・・・私のことなんか、心配してくれてるの?

「あのさ、。」
「・・・何・・・?」
「松本の事、落ち込むのもわかるけどさ・・・」
「・・・!・・・・うん。」
「俺に、相談しろよ。誰よりも、お前の事、見てるから。」
「・・・え?」

岳人が、私、を?

「贅沢言うとさ、もっと近くに居たい。俺だけを見ていて欲しい。」
「それって・・・。」

告白?
私なんかに・・・?
岳人は、ちっちゃい時みたいな笑顔で答えた。

「そ。俺、が好き。」

あーあ、言っちゃった。
岳人はそう言って、もう一度笑った。

「でもっ!私は・・・」

まだ、松本君のことが好きなんだよ。
って。
言おうとした。
でも、言おうとした私の口に岳人が人差し指をあてた。

「それは分かってる。確かに、アイツと過ごしてきた思い出はたくさんあると思う。」

岳人は、考え込む様にしてから軽く咳払いをした。

「それに負けない位、楽しい思い出を俺が作ってやる!絶対に保証する!」
「岳人・・・。時間、掛かっちゃうかもしれないけど・・・それでも、良い?」
「おう!ここまで待ったんだから、いつまででも待つぜ。」

そう言う岳人の顔を見ていると、安心して・・・―――涙が止まらなかった―――・・・。
私は、安心出来る場所が欲しかった。
だから・・・何をされても好きでいられた。

愛しい人を失って、イロを無くした私の世界。
イロを取り戻してくれたのは、貴方だったんだね。
堕ちて行く私の視界に映った貴方は、まるでヒーローのよう。
私だけの、小さなヒーロー。
それが、貴方の正体だったんだね。



小さなヒーロー

(向日君おめでとー。)(良かったねー!)(やべ、皆がいる事忘れてた。)




――――071112 再録