10月4日、今日は帝王 跡部の誕生日。
けど、私にはこれっぽっちも関係ない。
氷帝学園3年教室前...
普段も賑やかな廊下が、いつもよりも騒がしい。
プレゼントの嵐から逃げるために姿をくらました跡部。
それを探している女の子達。
私はアイツが嫌いだ。
俺様だし、ナルシーだし。
何より、あの 目立ちたがりなトコが嫌。
現に、アイツ一人のせいで学校中が甘ったるい匂いでいっぱいだ。
あー、嫌だ。
そんな思いを抱えて、トイレに非難しようとした。
...時。
「んっ!?」
ガッ!
そんな効果音がピッタリなくらい、後ろから思いっきり引っ張られた。
++
「ちょっ!何すんのよっ!」
トイレの個室まで引っ張ってこられた私は、やっと口を開いた。
犯人の顔は、まだわからない。
「うるせぇ。ちょっと静かにしてろ。見つかんだろ、アーン?」
「・・・!」
犯人の正体は跡部だった。
まさか、コイツだなんて。
しかも...私は抱きしめられている状態。
何の嫌がらせよ!?
「何やってんのよ。さっさと放して。」
「アーン?何でだよ。それじゃあ、お前を連れてきた意味ねーだろ。」
「意味分かんない。」
「ククッ。まぁ、俺の誕生日に一緒に居れるんだぜ?光栄に思いな。」
ムカツク奴。
そう思ってるのに...
犯人が跡部だって分かってからの、この胸の高鳴りは何?
顔が熱いのはなんで?
心臓がうるさいのはなんで?
跡部に触れてる手が汗ばんでいるのはなんで?
それはきっと此処が暑いから。
それ以外の理由なんて...
「跡部。」「。」
私と跡部の声が重なった。
それから目があった。
やっぱり顔が熱い。
すぐに目を逸らした私を見て、跡部が笑った。
「何?」
「何でもねーよ。こそ、何だよ。」
「ごまかした...!てか、何で名前呼びなの?」
あまり話した事が無かったのに、名前を呼ばれていて違和感を感じた。
けど......
何故か・・・嫌じゃなかった。
心地良いと感じてしまった。
跡部を求めている、自分がいる。
「跡部・・・。誕生日、おめでとう。」
「フッ、バーカ。言うのが遅ぇーんだよ。」
そう言って、跡部は笑った。
あぁ、私は跡部が好きなんだ。
やっと気付いた、自分の気持ち。
現在進行形で...
私とアイツの距離、0センチ。
私とアイツの距離
(絶対に好きだなんて言ってやんない。)
――――071004